【メルマガ第10回】原子と宇宙をつなぐ音の不思議




秋元秀美


 タイトルから原子と宇宙をつなぐ音とはなんだろうと思われるでしょう。原子のような小さな世界で起きることは、日常生活で見るものと全く違うことは容易に想像できるし、まして原子と宇宙に音なんかあるはずがないだろうと想像する方が多いでしょうから。しかし、振動という現象に注目すると、実は、原子と地球はとてもよく似ています。

 20世紀はじめに誕生した量子力学のおかげで、原子の構造とその性質が明らかになってきました。その量子力学によれば、原子核のまわりを電子が雲のように取り囲んでおり、その雲のかたちは量子力学によってわかるようになりました。量子力学では、極微の波動を決める方程式によって計算が行われ、それでわかった電子の雲のかたちは、鉄アレイ、ラグビーボール、おむすび、サイコロ、テニスボール、星などのようなかたちであることがわかりました。その電子の雲は、鼓動する振動体のような存在で、まるで楽器の音のように振舞うことを量子力学は予言します。化学の周期表に並ぶ元素の並び方もこの量子力学から説明されます。ところが、原子の周りの電子の並び方を分類することに利用されることはあっても、その電子の雲の形や振動については、あまり注目されることはありません。

 原子とは対照的に、地球のような大きな物体も、スイカやテニスボールのように地震などによって地球全体が振動します。原子の振動数は非常に高く、地球の振動数は低いですが、スイカぐらいの物体は、人間の耳で聴くことができる振動数の音を発します。スイカやテニスボールのような球の振動は、今から100年以上前から物理学によって明らかになっていました。それによると、球の振動は、鉄アレイ、ラグビーボール、おむすび、サイコロ、テニスボール、星などのようなかたちで振動することがわかりました。実際、地球の振動も球と同じであることが地震の観測で明らかになっています。2004年に発生したマグニチュード9以上のスマトラ島沖地震では、数ミリHzの振動数で地球が震える振動を観測しました。その時の振動のかたちは球の振動とまったく同じで、それこそ原子の周りの電子の雲のかたちと同じであったのです。

 この電子の雲のかたちと地球の振動のかたちが同じであるのは、興味深いことです。原子の周りの電子の雲も地球も、楽器の音を発するような存在です。振動のような音を発するものが球状であった場合、物理学では振動のかたちを与える方程式が偶然にも同じになります。これこそが、原子と地球の振動の類似性の原因になっています。原子や地球のような球体が同じような音を与えるなら、球状星団や球状の銀河団のような宇宙においても、似たような振動、似たような音を発している可能性は否定できません。原子から宇宙をつなぐ音の不思議を想像すると自然の奥深さを感じます。


秋元 秀美 

広島大学研究員(2004-)、専門:量子力学(波動力学)


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