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【メルマガ第6回】櫻井家のおかしな人々(破・急)

櫻井家のおかしな人々 (破・急)

櫻井 元希

 

植物学者(?)の父


 さて、日本ではまだ一般的とは言い難いクラシック音楽の中でも更にニッチな分野で活動しているアンダーグラウンド声楽家・指揮者の私ですが、私の家族、すなわち櫻井家の人々は、輪をかけてアンダーグラウンドな活動をしています。


私の父は二次元の音階を実現する楽器、ポリゴノーラの製作者その人ですが、彼が「非整数倍音から音階を作る、そしてそれを実現する楽器を作る」と言い出した時、私は「ああ、この人はもう行くところまで行ってしまったんやな、、、(遠い目)」とは思わなかったんですよね。「へえ、なにそれ、おもろいやん」って思ってしまったんです。そう、何を隠そう私も櫻井家の人なのです。父がイカレていれば息子もイカレているのです。


そもそも父は植物学者であって、音楽学者でもなければ音楽家でもありません。趣味でギターは弾くけどそれだけです。


スイカに音波を当てて、柔らかさを計るという農業機械?を開発しています。その機械(その名もたべごろう)を開発する段階で、スイカに音波を当てるとどうもその反射音には非整数倍音が含まれているということがわかったと。普通ならああそうですかそういうもんですかというところですが、櫻井家の人がイカレてるのはそこから音階→楽器を作ってしまうというところなんです。


いやあ、イカレてる(褒め言葉)。


oto-corcleのメールマガジンにご登録くださっている皆様ならもうすでにご覧になったことがあるかもしれませんが、灰野敬二さんが父のポリゴノーラを演奏している動画を貼っておきます。


声明パフォーマー(?)の叔母


そしておかしな櫻井家の人々の中でもとりわけイカレてると私が思っているのは、叔母の桜井真樹子です。


叔母は大学は作曲で出ているのですが、今は声明と、白拍子と龍笛をやっています。あとイエメン系ユダヤ人の聖歌、ディワンというのもやっていて、合気道もやってます。私が知らないだけで他にも何かやってるかもしれません。


彼女は世界を回ってさまざまな音楽に触れ、結局日本の声明に改めて回帰して、単身比叡山に乗り込み、出家もせずに、女性で初めて声明を学びました。


声明パフォーマーとして活動していたら、オウム真理教の事件がありました。日本の宗教家が干されまくった煽りを受け仕事が無くなったそうです。あいつはオウムの幹部に違いないと言われていたんですって。見た目で損するタイプなんですね。笑


そうこうしているうちにジブリ映画「もののけ姫」が公開になり、劇中のエボシ御前に影響を受けて白拍子を始めたそうです。


いやあ、イカレてる(褒め言葉)。

以下は叔母のパフォーマンス動画です(音量注意)。


もう何が何だかわからない波瀾万丈の人生ですが、とにかく今はパフォーマーをやっています。


しかし信仰を持たずに宗教音楽をやっていて、しかもやっていることが単旋律聖歌、という点では私とも通ずるところがあります。


まだ雑談レベルですが、同じ内容のテキストを、万葉語とラテン語に翻訳し、声明とグレゴリオ聖歌を新作して演奏するというコンサートを企画しています。


今後ともおかしな櫻井家の人々にご注目いただければ幸いです。



著者:櫻井元希 プロフィール http://genkisakurai.com  広島大学教育学部第四類音楽文化系コース、東京藝術大学音楽学部声楽科を卒業。同大学院古楽科をバロック声楽で修了。声楽を枝川一也、益田遙、河野克典、寺谷千枝子、櫻田亮の各氏に、バロック声楽を野々下由香里氏に、合唱指揮をアレクサンダー・ナジ氏に、指揮を今村能氏に、古楽演奏を花井哲郎氏に、ヴォイストレーニングをVocology in Practiceの小久保よしあき氏に師事。 これまでに、ヘンデル「メサイア」バッハ「ロ短調ミサ」「教会カンタータ」「マタイ受難曲」モーツァルト「レクイエム」などのソリストを務める。   Salicus Kammerchor、Ensemble Salicusを主宰。フォンス・フローリス古楽院講師。東京藝術大学バッハカンタータクラブ2013-2015年度演奏委員長。ヴォーカル・アンサンブル アラミレ、リーダー。The Cygnus Vocal Octet、ジャパンチェンバークワイア、ヴォーカル・アンサンブル カペラ、古楽アンサンブル コントラポント等に所属。




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