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【メルマガ第9回】気になるもの



気になるもの


黒田 華織


 何かよくわからないけど気になるもの。何かよくわからないけど好きなもの。背中のギザギザを棒でこすると「ガコガコガコガコ」と音がする木製のカエル。こけし屋の菓子箱に貼ってあった西洋人形のイラストのシール。てんとう虫チョコレートのチョコを食べたあとの包み紙に、丸めたアルミホイルを詰めて作った「てんとう虫」のおもちゃ。土鍋で米を炊き、鍋のふちにブクブクと吹き上がる泡をみて絶妙のタイミングで強火から弱火にできたとき。落葉した楓の道を歩いたときのクシャックシャッした音と感触。


 ポリゴノーラを知るきっかけになったのは、制作者である櫻井先生からイベントの案内が送られてきたこと。これは行きたい。ポリゴノーラに触ってみたい。

 日ごろ何とはなしに、「これ、好き」「おもしろい」と感じることは多々あって。それも大抵は実用的ではないものがほとんど。それで、これまでに気なったものをいくつか並べてみたのです。冒頭の気色悪いポエムのようなものはそのせいです。


 少し時間をおけば、「こけし屋の女の子のうつろな眼差しと笑っていない口元の表情」、「生き物みたいにもこもこ沸き上がってくる粘りを含んだ泡が、弱火にすると、スンッと何事もなかったかのようにおさまる感じ」とか、ピンポイントで気になったところがいろいろと判ってくるのですが、その瞬間は意識していない。でも、こういうものを見たり聞いたり触ったり作ったりすることは、私にとっては楽しいことであり、大事なことなのです。

 そして、イベント会場でポリゴノーラと初対面。ポリゴノーラから発せられる、鉦のような、西洋の鐘のような、それでいてどちらにも属さない独特の響き。それを耳にしたときに自分の中で凝り固まっていた何かが、じわり、と緩んでいく感じがしました。そういうときには、自然と体や気持ちが反応するものなんだな、と。

 今はポリゴノーラのことをもう少し詳しく知るようになり、マレットの材質や叩く場所によって音色や響きを変化させてみたり、手のひらを左右上下に素早くサササッと動かして音を揺らしてみたり、そのまま音が消えるまで余韻を味わってみたりしていますが、まだまだいろいろな楽しみ方を探しているところ。“何かよくわからないけど気になるもの”に素直になるのって、わるくないものです。

黒田 華織 (有)生物振動研究所 ポリゴノーラ担当

シネマルナティックなど 3館の映画館勤務等を経て、現在に至る。


 
 

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CD『Music of Polygonola』定価1300円(税込)12曲 / 日本語・英語解説書付

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